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Backstage story:舞台裏・楽屋の雑談

MC-4とアナログシンセ。CV-GATEの時代

2016年09月30日 (金) スタジオ

アナログシンセが全盛の頃、スタジオでは様々なシンセを持ち込んで作曲家やアレンジャー、ディレクターの意向をくんで、その場で音を作り加工し、エフェクトを掛けて、キーボーディストが演奏する。(手弾きと言った)
シンセはモノフォニックや、5音〜10音くらいのポリフォニック。
まだ、16〜24chのアナログのマルチテープレコーダーに、どんどんダビングしていく作業が続いた。
間違えると、パンチインと言って、スタジオのアシスタントが間違えたところだけをレコードボタンとストップボタンを操作して差し替える技を見せる。すべて、手作業。職人芸。

1980年初頭、このころからすでにシーケンサーやリズムボックスなどはあったが、大がかりだったり、準備に時間がかかったりで、まだ一般的ではなかった。アナログのステップシーケンサーやアルペジエーターは、一定のパターンを作って繰り返すのが関の山。
アナログシンセはCV(音程制御用の電圧)と、GATE(発音タイミングの信号)で発音する。これを任意のステップ数を一定のリズムで走査することで反復自動演奏させたりしていた。
テープレコーダーに同期信号を記録することで、シンクロさせることはできたが、曲中からの同期ができないため、曲の最後の短いフレーズを録音するためには、曲を最初から流し、その箇所まで待つ、もしNGだったら最初からやり直し...

そのころ、自社には、1977年発売の、Rolandの「システム700」と「MC-8」があり、使用していたが、スタジオに運んでセットアップして打ち込みや音作りとなると、相当大きなプロジェクトでないと、時間と予算があわず、あまり使わなかった。
そこに80年代になって、MC-8 の使い勝手を大幅に改良し, System-100M などに合わせたミニ・ジャック仕様の「MC-4」が登場した。

MC4は、譜面片手にテンキーですばやくデータを打ち込める操作感があった。コピーやインサート、修正もMC8と比べると格段にやりやすくなった。
ノート番号は、音符のドレミ、0-127の数字、ステップタイムは、発音のタイミング(四分音符や八分音符といった音符の位置)、ゲートタイムは各音符の中で発音している時間(レガートやスタッカートの表現)、ベロシティは鍵盤を弾いた時の強さ(これを音量やフィルターなどに適応)。
その他、4chのトラックがあるので、これらのCV、GATEに変換される値を、他の用途に当てはめることも可能。
コントロールチェンジやアフタータッチなどは、MIDIがでるまでお預け...

元々、譜面やスコアを読むことが得意な僕は、MC-4の早打ちパーフォーマーとして、重宝がられた。

今のように、ハードディスクやRAMや、メモリカードなどを装備していないので、打ち込んだデータはカセットテープに記録していた。
懐かしの、「ピィーガガガ」の音で録音していたわけだが、MC4Bは、MTR-100という、専用デジタル・カセットに高速で、なんとなくランダムアクセス風にデータを記録することができたのも画期的だった。

このころ、MC-4とシンセだけで録音した映画音楽シリーズ、「サウンド・シアター」と言うCDを、本多俊之氏のアレンジで、ソニーレコードから出版した。1985年のことである。
この後、MIDI搭載シンセや、OP-8やデジアトムといった、MC-4のCVとGATEのデータを、MIDIデータに変換するインターフェイスが現れるまで、しばらくアナログシンセとMC-4の仕事が続く...